2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹が描く青春との決別 『風の歌を聴け』

『風の歌を聴け』言わずと知れた村上春樹のデビュー作である。1979年の4月、この作品で群像新人文学賞を受賞し、その小説家としてのキャリアがスタートする。今やノーベル文学賞の候補に挙がるほどの作家の偉大なる一歩。 そして今この作品を読み返し、改め…

華倫変という漫画家と100日後に死ぬ光うさぎ (『高速回線は光うさぎの夢を見るか?』考察 )

苦しみってのはただ噛みしめるように なれていくしかないのかな・・・ これは『高速回線は光うさぎの夢を見るか?』という漫画の中のとあるセリフ。作中、岡山三奈という人物が述べる「唯一の本音」とされている言葉である。そしてこのセリフは28歳でこの世…

糸井重里の「責めるな。」から見る怒りの矛先

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行により、政治、経済、そして人の生活様式が問い直されている。思わぬ形で曲がり角に差し掛かった資本主義、不測の事態に混乱する政治、そしてコロナウイルスがもたらす恐怖とストレスで人々は冷静さを失ってしま…

加速する時代のヴェイパーウェイヴ

マーク・フィッシャーという批評家に出会ってからというもの、僕の頭の中は「如何にして資本主義的がもたらす憂鬱から抜け出せるか」という考えに囚われている。その応答として加速主義というものがある。加速主義とはイギリスの哲学者ニック・ランドがウォ…